幽火について
- 九重 十日

- 8月21日
- 読了時間: 2分
こちらではご無沙汰しております。
せっかくブログがあるのに全く更新していなくて勿体ないので
今後はもう少し自分のために書くペースを上げたいと思っています。
8月末はスパンアートギャラリー様の30周年記念展に参加します。
出展作品のコンセプトを結構練ったので、
ここに書いておこうと思います。
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『幽火(かくりび)』
58cm オールビスク グラスアイ 人毛 皮革
「幽火(かくりび)」は、
“忘れられた想いに灯る、自然現象の擬人化”のイメージで制作しました。
たとえば誰にも知られず、ひとり静かに祈った夜。
誰かを想いながら、言葉にならなかった気持ち。
そうした人の熱の残り火が、この世に宿ったとき、
風にも雨にも触れず、ただそっと灯る「幽かな火」となって現れます。
それは炎ではありません。
けれど確かに、心の奥底で燃え続けていた何かをかたちにしたものです。
本作では、そうした「見えない火」を、ひとりの少女の姿に託しました。
角は祈りの焦点、瞳は揺らぐ火芯。
小さな身体に秘めた熱は、今日も静かに灯り続けています。
彼女が少しだけ笑っているように見えるのは、
「そうすれば安心してもらえる」と、
誰かに言われた記憶が残っているからです。
けれど本当のところ、幽火自身が笑ったことは一度もないのかもしれません。
その表情は、火が人の形をとった際に生じた、ただの“名残”のようなものです。
幽火は語らず、動かず、ただ静かに佇んでいます。
それでも、人はなぜか彼女の姿に「誰か」を重ねたり、
祈りたくなったりするのです。
きっと彼女は、誰かの心の奥に灯る“火”のような存在なのだと思います。
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こんなに設定を練ることはなかったので新鮮です。
今までは見てくださる人に委ねていましたが、
自分の中で明確に言語化していなかったので
今回みたいな制作も楽しくていいなと思いました。
展示詳細は以下の通りです。


スパンアートギャラリー30周年記念展Ⅲ
「時代とアート -変容する2次元・3次元」
開催日
2025年8月30日(土)~9月14日(日)
※9月3日、4日、10日、11日水・木曜休廊
時間
11:00〜19:00(最終日は17:00まで)
会場
スパンアートギャラリー
〒104-0031
東京都中央区京橋2丁目5−22 キムラヤビル3F
今回も頑張って制作しましたので
是非ご高覧いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。



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